私は今まで、母子健康手帳は母子限定の日記のようなものだと考えていました。しかし、今回の調査で、社会保障の充実や知識の普及といった、私の予想を超えた幅広い役割を担っていると知ることができました。そして、母子健康手帳は一人につき一冊しかなく、世界にたった一つの重要かつ貴重なものであると学ぶことができました。
過去を振り返ってみると、私が実際に母子健康手帳を使用したのは学校の資料の記載や病歴の確認等人生で数回しかなく、知りたい情報以外の部分は読んだことすらありませんでした。しかし、改めて考えてみると、10年以上も前の必要な情報を抜き出し、正確に記録することができるのは、一冊に必要な情報が集約されており、経過年数や子供の人数が増えた後も管理しやすい母子健康手帳のおかげだと再認識しました。現在はスマートフォンが普及し、いつでも・どこでも情報が手に入る時代です。正しく有益な情報も多い一方、信用性が低く誤った情報が錯綜しているのも事実です。自身で正しい情報を選び取る能力も大切ですが、膨大な情報の中から取捨選択し的確な情報のみ入手することは、なかなか容易でありません。母子健康手帳は、情報の入手が今よりも困難であった時代だけでなく、この情報化社会下でも素早く・正確な情報の取得に助力していると感じました。
母子健康手帳の用途の幅広さや利便性に感動した一方、私が今回の調査で最も印象的だったことは他にあります。それは、母から母子健康手帳を受け取る際に、「これはあなたが生まれてきた証だよ」と言われたことです。母子健康手帳にほとんど触れたことがなく、3歳以前の記憶も曖昧な私にとっては、正直読んでいても自分の記録だという実感がありませんでした。しかし、母にとっては妊娠・出産・育児といった私が成長する一連の過程の中で、時には教科書のように、時には日記のように使用してきた、思い出深いものであると母の一言で気付くことができました。妊娠・出産・育児においては、想定外の出来事の連続です。不安やストレスを一人で抱えてしまい、マタニティブルーになる方も多くいます。母子健康手帳の存在は、このような方々にとって支えとなり、安心感を与えることにも繋がると思います。母子健康手帳には母子に関する知識だけでなく、相談可能な機関の情報も記載されているため、不測の事態が生じた際も冷静に対処することができます。
私が将来妊娠・出産を経験するかは不明ですが、今回の調査で得た知識は有益なものばかりで、いざという時のために事前に情報を蓄えておくことが大切だと思いました。もし私がこれらを経験しなくても、今回得た学びを周囲の人に共有することで活用していけたらいいなと思いました。
(a)